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●“認知症”とは?
認知症とは“脳や身体の疾患を原因として記憶・判断力などの障害が起こり、普通の社会生活が営めなくなった状態”と定義されています。
"認知症は、”単なるもの忘れ”と違って病気です。そして誰もがかかる可能性がある、とても身近な病気の1つです。
認知症の症状は、「中核症状」(必ずみられる症状)と「BPSD(周辺症状)」(人によって違う症状)の二種類に大きく分けられます。
「中核症状」は認知症によって引き起こされる脳機能の障害で、・認知機能の障害、・記憶障害、・見当識障害、・実行機能の障害などがあります。
「BPSD」は、認知症の症状の基盤となる「中核症状」の記憶障害・見当識障害・理解の低下などから二次的に起こる症状で、「行動症状」(・攻撃的行動・徘徊・拒絶・不潔行為・異食)と「心理症状」(・抑うつ・人格変化・幻覚・妄想・睡眠障害)に分けられ、認知症の症状が軽度から中等度に進行すると多く出現するようになります。
失語とは、言葉の理解ができないこと、しゃべりたい言葉がしゃべれないことです。
失行とは、運動機能に関する障害はないのに、意味のある動作、たとえば「くわえたタバコにライターの火をつけること」ができないような障害をいいます。
失認とは、感覚に関した機能は損なわれていないのに、対象を正しく認知・認識できないことです。よくあるのは、方向感覚の悪さ、何度も行ったことのある娘の自宅を訪ねようとして道に迷うような例です。
見当識障害(けんとうしきしょうがい)とは現在の自己,および自己のおかれている状況を認識することを見当識というが,この認識が正常に行われない状態のことで,失見当識ともいう。自分が置かれている時や場所,周囲の人間関係などを正しく認識しているか否かで判断する。
記憶力の中でもとくに記銘力障害(新しく体験したことを覚えておくことができなくなる障害)、が目立ちます。また、すでに冷蔵庫にたくさん入っている食品を繰り返して買うような記憶障害の現れ方も少なくありません。
記銘力障害は重度な場合、数秒あるいは数分前のことを記憶にとどめられなくなる。
実行機能というのは、「目的をもった一連の行動を自立して有効に成し遂げるために必要な機能」と定義されています。この機能に障害が生じることで、行動するための段取りが取れず、実行出来ないのが実行機能障害です。
脳の細胞が大量に死滅することで認知症はおこります。その原因はひとつだけではありません。認知症には引き起こす原因によって数十種類あります。そのなかでも「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」が3大認知症といわれています。
新しいことが記憶できない、思い出せない、時間や場所がわからなくなるなどが特徴的で、1番多いとされている認知症です。
脳内の異常なたんぱく質(アミロイドBたんぱく)がつくられ、脳の細胞の働きが少しずつ失われ死滅していき、脳が萎縮し機能全般的に低下していきます。
脳内に「レビー小体」という特殊な物質が蓄積された結果、脳の細胞が損傷を受けて発症する認知症で、実際にはいない人が見える「幻視」、眠っている間に怒鳴ったり、奇声をあげたりする異常言動などの症状が目立ちます。
手足の震え、筋肉の硬直などパーキンソン病に似た症状や、うつ病、物忘れと共に生々しい幻視があらわれるのが特徴です。
脳梗塞や脳出血など脳血管疾患のために、病気が起きた部分の脳の細胞の働きが失われることで発症します。ほかの認知症よりも画像診断で発見しやすいタイプで、損傷を受けた脳の部分の機能は失われますが、脳全体の機能が低下することが少ない病気です。片麻痺、嚥下障害、言語障害などが身体症状が多くみられ、脳梗塞の再発を繰り返しながら段階的に進みます。
●認知症の予防方法
認知症の予防方法 最近では高血圧、糖尿病、脂質異常症など生活習慣病の方は、アルツハイマー型認知症になりやすく、さらに進行も早いという研究報告があり、アルツハイマー型認知症と生活習慣病の関係が注目されています。
高血圧、高脂血症、動脈硬化、糖尿病といった生活習慣病の原因でもある”乱れた食生活”や”喫煙”などは脳血管性認知症の原因でもあります。
認知症の症状があっても、もとの病気を治療すると治ることもあります。こうした病気を早く見つけて早く治療を始めるためにも、認知症かな?と思ったら、早めに専門医を受診することが大切です。
高血圧、糖尿病、脂質異常症など生活習慣病の方は、アルツハイマー型認知症になりやすく、さらに進行も早いという研究報告があり、アルツハイマー型認知症と生活習慣病の関係が注目されています。
また、生活習慣病の原因でもある乱れた食生活や喫煙などは脳血管性認知症の原因でもあります。そのため、食生活を中心とした生活習慣の見直しは、発症を防いだり、進行を遅らせるためにとても大切なことです。
「もの忘れ」には、年をとると誰にでも起こるもの忘れを「加齢によるもの忘れ」といい、「認知症によるもの忘れ」とは区別しています。
「加齢によるもの忘れ」は出来事の一部を忘れてしまうことで、「認知症によるもの忘れ」は出来事そのものを忘れるため、「食事をしたこと自体」を忘れてしまい、「ごはんはまだ?」と何度も催促するようなことがあります。
加齢によるもので、病的な状態ではない、・行為や出来事の一部を忘れる、・思い出すのに時間がかかる、・自分が忘れやすくなったと自覚している、・忘れたことを「忘れていた」と認められる、・時間や場所がわかるなど、日常生活に支障をきたすほどではない物忘れ。
病的な状態で、・行為や出来事そのものを忘れる、・新しいことがまったく覚えられない、・自分が忘れていることに気付かない、・作り話でつじつまを合わせようとする、・時間や場所がわからなくなっているなど、日常生活に支障がある、悪化のスピードが速い物忘れ。
出典:大友英一:認知症にならない、進ませない.講談社
【うつ病】や【せん妄】
高齢期は喪失体験が多い時期のため「うつ病」になりやすいといえます。「うつ病」により一時的な記憶力や低下、運動機能の低下が認知症と間違われるケースがあります。
また大きな手術による入院などで急性の脳機能障害が起こり、一時的に幻覚や妄想があらわれる「せん妄」も、認知症と混同されることがあります。
脳に過剰な体液(髄液)がたまることで認知症と似た症状がでることもあります。